前回の記事では「リチウムイオンバッテリー ENERGY」の全貌を公開しました。
反響もよく多数のお問い合わせを頂きありがとうございました。お問い合わせいただいた中で実際の使用方法や保管方法についてのご質問も多かったので、
今回の記事では「リチウムイオンバッテリー ENERGY」の使用方法や注意点、
リチウムイオンバッテリーを使用する上で知っていただきたいことなどをご紹介していきたいと思います。
目次
ENERGYバッテリーの正しい使用方法
同じバッテリーでも鉛とリチウムイオンバッテリーでは使用方法が異なる点があります。
始めにENERGYバッテリーの使用方法を見ていきましょう。
バッテリーの接続方法
基本的な使用方法はこれまでの鉛バッテリー(ACデルコ ボイジャー等)と変わりませんが、端子を接続するナットの部分が一般的な鉛バッテリーと異なります。
これまではオスの端子に接続する、
またはその横の端子に接続器具(ワンタッチコネクター等)を使っていました。
一方ENERGYバッテリーでは、メスの端子となるため丸型端子を使用している方であればそのままご使用いただけますが、接続器具を使用してる方は端子を交換する必要がございます。
ENERGYバッテリーはM8丸型端子対応ですので、丸型端子の交換は不要です。端子は緩みが無いように締めて下さい。
端子の緩みや端子・配線の劣化がある場合は熱を持ちやすく、配線が溶けたり、最悪の場合バッテリーの故障や発火に繋がります。
使用機器ごとの注意点
ENERGYバッテリーで使用する機器(魚探、エレクトリックモーター:以下エレキ)は必ず電圧(V)を合わせてご使用ください。
また、ENERGYバッテリー1個に対して、複数の魚探、エレキを接続する場合は最大放電電流に注意しながらご使用下さい。
魚探の場合は複数接続でも問題ありませんが、エレキの複数機掛けの場合は、最大放電電流を超えないようにご使用下さい。
放電電流の数値につきましては、別売りシャントのインジケーターからご確認頂けます。
(例)ミンコタ36V112lbの最大アンペア数は52Aであるため、バッテリー1個につきエレキ1台であれば、80Aを超えることはありませんが、1個に2台(52A×2=104A)使用する場合は最大放電電流80Aを超えてしまいますので、通常はバッテリー1個につきエレクトリックモーターは1台を推奨しています。
12V 100Ahの最大放電電流は1000Ah
24V 60Ahの最大放電電流は60Ah
36V 50Ahの最大放電電流は50Ah
ボートへの設置方法
バッテリートレイはこれまでのACデルコ ボイジャー等の100A相当用の物を代用頂けます。
設置場所に関わらず、ご使用の際はバッテリーが動かぬ様、ベルト、ゴムマットなどを使用して下さい。
ENERGYバッテリーの充電方法
ENERGYバッテリーの充電器は家庭用の100Vから240Vまで対応するように作られてます。
そのため、家庭用コンセントでは100Vを切る事はありませんが、100Vを安定して出力することのできないコンセントの使用はできません。
(引用:https://www.jackery.jp)
また、ポータブル電源や発電機の中でも100Vから240Vを安定して供給出来るものもありますが、W数が合っていない場合も充電が出来ませんので、ご注意下さい。大容量のポータブル電源はリチウムイオンバッテリー以上に高価な物になりますが、2~3日間の遠征などではいいかも知れません。
ENERGYバッテリーの正しい保管方法
リチウムイオンバッテリーはパソコンやテレビ同様の精密機械のため、湿度の高い場所や結露が起こる場所での保管はできません。
バッテリー内部に結露が起きた場合、セルやBMSにサビが起き接触不良を起こす恐れがあります。
窓際や屋外など外気温の変化を受けにくく、直射日光をなるべく避けたところでの保管をしましょう。
(おすすめできる保管場所)
クローゼット、日陰で風通しの良い場所、空調のついている部屋など。
バッテリーの保管温度
温度はバッテリーの劣化に大きく影響する部分の一つであり、「国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター」の劣化挙動調査では温度毎の劣化具合が次のように報告されています。
(引用:https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2019-sr-01.pdf)
このグラフでは25℃~60℃までのリチウムイオンバッテリーのサイクル数(寿命)を表しています。
黄緑色の25℃から赤色の35℃では然程サイクル数は変わらないものの、
40℃以上では劣化が進みやすい事がわかります。
また、保管時の放電に関しても温度による影響があります。
このグラフではバッテリー残量が100%の状態から400日間の温度ごとでの放電量を表しています。
赤色の25℃で保管した場合では100%の残量を維持しており、温度が高くなるにつれて放電量が多くなる結果となっています。
このことからバッテリーのスペック上は0~40℃まで保管できますが、劣化の少ない最適な温度は25℃前後であると言えます。
保管時の充電残量
これまでの鉛バッテリーでは使用後即充電し、満充電(残量が100%)の状態で保管する、というのが常識でした。
しかし、リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーとは違い、満充電の状態で保管すると著しく寿命を低下させる事になります!
それでは、どれくらいの充電率で保管したらいいのかを見ていきましょう。
上記グラフでは充電残量を10%~100%まで変化させて400日間の経過試験を行ったものです。
試験では充電残量10%、30%、50%、70%、90%、100%の6パターンで行われており、それぞれ時間が経過するごとの劣化を表しています。
グラフ左のNormalied Discharge Capacity(%)はバッテリーの容量(寿命)を表しており、折れ線グラフは経過日数毎の劣化を表しています。
グラフの右肩下がり具合の少ない程=劣化が少ない充電残量です。
これを見てわかる通り、リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーとは違い、充電残量が少なければ少ないほど、劣化が少ない結果となっています。
しかし、完全放電(充電残量0%)させると劣化させてしまうので注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最近はリチウムイオンバッテリーを導入している方も多く、身近な存在になってきています。
ネットやメーカーページではなぜかあまり載っていない、正しい保管方法と劣化の原因について書いてみました。
実際にリチウムイオンバッテリーを導入している方には、「バッテリーの持ちが悪くなった」など劣化を感じ始めている方も増えているようなので、参考にしていただけたら嬉しいです。
1.結露せず、直射の当たらない、湿度の低い場所で保管
2.25度前後で充電残量は10%~30%で保管
3.使用後すぐに充電するのではなく、そのままの状態で保管
リチウムイオンバッテリーは適正な管理を行う事で、「高寿命」を最大限まで引き出す事ができますよ。