シマノは元々は自転車のコンポーネントメーカーであり、アルミの加工技術に関しては非常に高度な技術を持っていることで定評のあるメーカーです。
美しい製品仕上げと、軽さと耐久性と精度を重視した物つくりは釣具という分野に移しても健在です。
そんなシマノが展開するスピニングリール、さらにはフラッグシップモデルに関しては2大モデルが存在し、一つは先にも紹介した『ステラ』。
そしてもう一つは各部に軽量化を施し、鋭い感度とクイックな操作性、さらには軽快な巻き心地を実現させたモデル『ヴァンキッシュ』です。
滑らかな巻き心地を追求したコアソリッドモデルの頂点である『ステラ』と軽快な巻き心地を追求したクイックレスポンスシリーズの頂点である『ヴァンキッシュ』。
巻き心地を追求し続けてきたシマノだからこそ生み出すことができた2種類の巻き心地とは?
今回はそんなシマノの2大スピニングリールの1つ『ヴァンキッシュ』についてインプレッションをしてみます。
投稿者プロフィール
私が釣りを始めたのは20台前半と遅咲きの釣り人ですw
一箇所に通いつめるということができずに、半分旅行気分であっちこっちの磯に行くの好きです。
おかげで全く釣果には恵まれず、磯の上でグータラしてばかりです。
釣技は全くダメですが、釣具の査定は絶対的な自信を持ってます。
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目次
16ヴァンキッシュの特徴とは
ヴァンキッシュの現行モデルである『16ヴァンキッシュ』。
最新の素材と技術を駆使して作り上げられたこのリールは、非常に完成度の高かった従来のモデルを凌駕しうる性能と使用感を持っています。
最大のポイントは新開発の『NEW マグナムライトローター』です。
これまで常識とされていた左右対称のローター構造から左右非対称設計に変更されています。
ラインローラー側に組まれていたベールリターン機構を取り付けカム側に移植し、さらにはラインローラーとベールの軽量化、ローター肉厚の最適化を駆使して回転の慣性低減化を実現しています。
さらにはローター肉厚の最適化により、ローター自体の剛性アップも実現しています。
軽量化の最大の利点は軽快な操作性と巻き出しの軽さ、優れたリーリング感度です。
キャスト回数の増える釣りや、水中の状況を正確に手元に感じ取りたい繊細な釣りにおいては究極の武器となります。
筆者の使用しているのは2000番。
重量は驚異の155g。一昔前までは考えられないくらい超軽量リールです。
シマノ特有の巻き心地を実現するマイクロモジュールギヤ
シマノの高度な技術力、精度を一番に感じられるのは精密な回転駆動を実現しているギヤです。
16ヴァンキッシュにも採用されている『マイクロモジュールギヤ』と銘打たれたこのギヤ。
実際にその形状を見てみると他社のリールに使用されているギヤとは比べものにならないくらいに歯数が細かく、そして多く設定されています。
ギヤの歯数が細かいとどうなのか?
それはギヤの密度を高め、より多くの歯が噛み合うことで回転時におけるノイズが減少し、さらには接地面が広くなるため回転抵抗に対する強度が高くなります。
円形というのは本来は超多角形型であり、外形を拡大していけば必ず辺となる部分が出てきます。
仮に歯数の少ないギヤを六角形の鉛筆、歯数の多いギヤを円形の鉛筆と例えてみましょう。
双方の鉛筆を転がしてみると、転がる際にノイズの大きいのは六角形の鉛筆の方ですよね。
歯数を増やし、より回転動作を円に近づけたのがシマノのマイクロモジュールギヤといえます。
随所に施された軽量設計
16ヴァンキッシュはパッと見た目だけでも各部に施された肉抜きによって軽量化が計られていることが伺えます。
特に重量の変化に影響の受けやすい回転部であるローター部分には軽量カーボン素材であるCI4+が使用されており、回転動作の初期動作に要するエネルギーの削減に貢献しています。
軽い力でローターの回転を始動することができ、回転動作の停止時にもより小さな力で行うことができます。
操作する者の意思と動作のズレを抑えることにつながり、直感的な操作にも対応できる、まさにクイックレスポンシブなリールと言えるでしょう。
ライントラブルは?
スピニングリールにおける最大のネックはライントラブルです。
特に小径スプールを搭載する小型番手では、使用するラインによってはライントラブルに泣かされるリスクが高くなります。
実際に筆者も慣れないうちや他の低価格帯リールを使用していた時はライントラブルに泣かされた経験があります。
スピニングリールのライントラブルの主な原因はラインの糸ヨレや、糸ふけの回収時によるものがほとんどです。
16ヴァンキッシュでは、『AR-Cスプール』を採用することにより、キャスト時におけるラインの放出をベストな状態に整えてくれます。
特殊形状のスプールリングによる整流効果と非常に滑らかなラインローラの働きにより、ラインの糸ヨレを防いでくれるため、糸癖の出やすい小径スプールでもライントラブルが起こりにくくなっています。
サビが出にくく精度の高いベアリング性能も相まっており、各部の構造と採用パーツの相乗効果によって完成されたトラブル回避性能を誇ります。
筆者も初心者の時に16ヴァンキッシュを使用していたなら、構造を理解できていなかった状態でもトラブルを最小限に留めて置くことができたかもしれません。
計算された重量バランス
16ヴァンキッシュを実際にロッドに装着してみると、スペック値よりも軽く感じることがあります。
同じ重量のリールと比べてみると明らかに16ヴァンキッシュの方が軽く感じられるのはなぜか?
それは”体感的”に感じるリールの重さが低いことが原因と考えられます。
16ヴァンキッシュはスプールを前後運動させるための摺動機能部品がリール本体上部に配置されており、リール全体の重心が手元に近い設計バランスとなっています。
バットのグリップの先を持って平行に位置するとバットの重量以上の重さを感じられますが、バットの支点を掴んで平行に位置するとバットの重量は本来の重量でしか感じられません。
重量のあるパーツが支点に近い位置に配置されることにより、同じように重さを感じにくくなっているわけですね。
ドラグ性能は?
ドラグに関しては必要十二分といったところでしょうか。
ドラグ動作時のスプールの遊びやフラつきを抑え、高負荷のかかる状況でも安定してラインを送り出してくれます。
ドラグの動きにギクシャクしたところは感じられず、不意の大物とのファイトにも焦ることなく対応できます。
最初のドラグ設定をきちんとしておけば、魚とのファイトはドラグ任せにしてもいいくらいに、適正な負荷をかけつつスムーズにラインを送り出してくれます。
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まとめ
いいところばかりを挙げてきましたが、実際に使用してみた感想はまさに『良い!』です。
難点を挙げるならば、軽量化による素材の剛性感に欠ける点と、ステラと比べて巻き心地のシルキーさに欠けるといった点でしょうか。
デザイン的にもシマノらしく落ち着いたデザインであり、道具としての機能美を備えています。
繊細な釣りと、しっかりとした確かな品質のものを好むといった方には間違いなくお勧めできます。
価格はフラッグシップモデルのひとつだけあり少々高めですが、価格に見合った性能を手にできると考えれば妥当な金額とも言えます。
軽さと感度、そして軽快感を手に入れたいと考えている方は購入候補に加えてみてもいいかもしれません。